「星空の世界遺産」とも呼ばれている、星空保護区について解説していきます。
星空保護区とは?
光害の影響のない、暗い自然の夜空を保護・保存するための優れた取り組みを称える「星空保護区認定制度(ダークスカイプレイス・プログラム)」に認定された地区・地域を指します。
単に「星空が美しく見える場所」というだけでは、星空保護区に認定してもらうことはできません。
美しい星空が見上げられ、かつ、その場所を守るような取り組みを行なっている場所が、星空保護区の認定対象となります。
星空を守るために具体的な対策をとっているか、ということが星空保護区の大事なポイントになります。
誰が認定するの?
『国際ダークスカイ協会(International Dark-sky Association; IDA)』と言う、光害問題に取り組む世界最大のNPO団体です。
天文学者や環境学者らを中心に構成されており、世界18ヵ国64支部を持つグローバルな組織です。本部は、米国のアリゾナ州にあります。
星空に関する光害の問題に取り組むパイオニストであり、リーダーのような存在です。
日本では東京に支部があり、環境や照明、天文など様々な分野の専門家が連携して活動しています。
光害(ひかりがい)ってなに?
夜間、必要以上に明るい照明をつけるなど、環境への配慮が不十分な光 によって、自然や人、動物に悪影響をおよぼすことです。
星空にとっての光害は、夜になってもギラギラと明るい照明や、たくさんの街明かりによって、星が見えにくくなってしまうことを指します。詳しくはこちらのページで解説しています。
光害は、星が見えにくくなるだけでなく、自然や生き物の生態系を崩してしまうなど、さまざまなシーンで問題になっている公害です。
星空保護区の目的は?
世界では光害の影響が広がり、人口灯の明かりで夜空が照らされ、美しい星空を見上げられる場所がどんどん減ってしまっています。
このままでは、星空を見上げられる場所がなくなってしまう…。そんな危機感から、星空を守る取り組みを推奨する「星空保護区」がつくられました。
美しい星空と、その星空を守るための取り組みを広めることで、多くの人に「星空を見上げられることの価値」や「これらが光害によって失われてしまうかもしれない」という気づきを与え、光害への問題意識を広めていくことが主な目的でしょう。
世界遺産のように、星空保護区は観光振興の面でも良い影響を与えます。そのため、「来訪者の減った地域を盛り上げていこう」という視点からスタートするのも良いでしょう。
星空保護区の認定を受けるには?
屋外照明に関する厳格な基準や、光害に関する教育啓発活動などが必要です。
また星空保護区には6種類の認定カテゴリーがあり、認定を受けたいカテゴリーのガイドラインに合わせた取り組みも必要になります。
国際ダークスカイ協会は、星空を守ることの大切さを一緒に広めてくれるような地区・地域を認定しているようです。
日本で星空保護区に認定されている場所は?
沖縄県の西表石垣国立公園と、東京都の神津島、岡山県の伊原市美星町、そして福井県大野市の南六呂師区が認定されています。
日本ではまだ上記のみですが、世界では201ヶ所が星空保護区に認定されています。(2023年8月の時点)
星空保護区のまとめ
星空保護区は、ただ星空が美しく見える場所を認定するだけでなく、その星空をこれからもずっと守っていけるような取り組みをしている地区・地域を認定するものです。
星空保護区の認定を受ける地域が増え、世界中の多くの人へ、星空を守ることや、光害について考えるきっかけを広めていけたらいいですね。
星空保護区についてもっと詳しく知りたい方は以下のサイトを覗いてみてね。
外部サイト: 星空保護区 International Dark Sky Places