星空と関わりの深い環境問題の1つである、光害について解説していきます。
光害とは?
今、地球上では、夜でも必要以上に明るい照明をつけている場所がたくさん増えています。
ビルの明かり、看板の明かり…、それらは本来暗い夜空を照らして、星空の明かりをかき消してしまっているのです。
こういった無駄な光が、自然に対して悪い影響をおよぼしていることを、光害(ひかりがい)と言います。
光害は世界規模の問題であり、特に夜間でも経済活動を活発に行なっている、アメリカ、ヨーロッパ、日本などで深刻な問題とされています。
生き物の生態系にまで影響する光害
光害は、星空が見えにくくなるだけでなく、生き物にも悪影響を及ぼすケースもあります。
地球に存在している生き物のうち、光になんらかの反応を示してしまう生き物は少なくありません。
本来であれば暗い夜の時間に、人口の灯りがついてしまったことで、生き物の体に培われていた生活リズムが崩され健康を脅かしてしまったり、昼の時間と勘違いして行動をおこして、命を落としてしまったり…。
生き物は人間と違い、人口灯と太陽の光を判別できないことが多いので、こういった事態が発生しています。
参考資料:環境省「光害について」
星が見えにくくなるだけでも悲しいことですが、生き物にまで悪い影響を与えている問題となると、非常に深刻になってきますね。
身近なトラブルも光害の1つ
光害は、私たちの周りで起こる身近なトラブルを指すこともあります。
例えばA君の家の隣に、深夜までギラギラと明るい照明をつけているお店があったとします。A君は、その明かりのせいで、カーテンを閉めても夜眠れなくなってしまいました。これも光害です。
また、自動車の走行中に、眩しすぎるライトのせいで目が眩み、事故につながってしまったという場合も、光害と言えるでしょう。
このように、過剰な明かりによって、何らかの悪影響が及ぼされることを総じて「光害」と呼びます。
光害と言うと「星が見えにくくなる」「生き物への悪影響」など、自然に対する環境問題というイメージが大きいですが、上記のように、生活上のトラブルで使われることもあるのですね。
光害への対策方法は?
電気をむやみにつけて明るくするのではなく、必要な時に、必要な場所で、必要な光の量で使うことが一番に挙げられるでしょう。
また専門家のインタビューを見ると、光害は、他の環境問題に比べて、認知や危機意識が低い問題であることも分かりました。(星空が見えなくなる程度にしか認識されてない、など)
天体観測への影響も大きな問題ではありますが、光害が、生き物や植物に悪影響を及ぼしていることも周知され、少しでも多くの人に危機意識を持ってもらうことも課題でしょう。
無駄な電気や明かりを消しつつ、光害のことを広められるような行動ができると、より良い対策方法になるかもしれません。
星空保護区を通じて、光害についても広く伝えていけると良いですね。
光害のまとめ
光害の影響は、以下のようなことが挙げられました。
・天体観測がしにくくなる(星空が見えにくくなる)
・生き物の生態系を混乱させてしまう
・ひとの安全や生活環境を脅かす
また、エネルギーの浪費という面から見ても、悪影響と言えるでしょう。
都会の夜景を美しく感じることもありますが、このような悪影響を考えると、代償が大きい気がしてきますね。
光害についてもっと知りたい
もっと光害について知りたい方は、環境省が公開している「光害対策ガイドライン(改訂版)」や、以下の、国際ダークスカイ協会が制作した、光害啓発ムービー「Losing the Dark」をご覧ください。